2025年4月1日

昨日の豊橋新アリーナ問題についての新たな動きについてのニュース。NHKのサイトから引用します。
愛知県豊橋市で建設が予定されていた多目的屋内施設をめぐり、議会の同意なしに契約を解除できないとする条例の取り消しを求めた市長の申し立てについて、大村知事は31日、「条例案が法令に違反するとまでは言えない」などとして棄却しました。
豊橋市に新たなアリーナを含む多目的屋内施設を建設する計画をめぐっては、去年11月、建設中止を訴えて当選した長坂尚登市長が業者との契約解除を指示した一方、建設賛成派が多数を占める市議会は、議会の同意なしに契約を解除できないとする条例を2度可決したことから、長坂市長は2月、愛知県の大村知事に対し、条例の取り消しを求める審査を申し立てました。
これを受けて、大村知事は専門家から意見を聞くなどして審査を進めてきましたが、31日、「条例案が地方自治法などの法令に違反するとまでは言えず、審理や手続きも適正に行われたことなどから、裁量権の逸脱や乱用があったとまでいうことはできない」として、市長の申し立てを棄却しました。
一方で、大村知事は「市長と議会は互いの権限と責任に配慮しつつ、意見の調整を図ることに最大限努める責務がある」と付け加えました。
知事の裁定に対し、不服がある場合、長坂市長は4月1日から60日以内に取り消しを求める行政訴訟を起こすことができるということです。
長坂尚登市長は「本市の主張が認められず残念だ。内容を精査し、今後の対応を検討していく」とするコメントを出しました。
また、豊橋市議会の伊藤篤哉議長は「市議会の主張が認められたものと受け止めている。長坂市長には、速やかな条例の公布を強く求めたい」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20250331/3000040523.html
昨日の投稿に引き続きこれまでの豊橋アリーナ問題についての経緯を振り返ってみようと思います。

2020年の豊橋市長選挙
2016年の国の政策「スタジアム・アリーナ改革」に沿って進められつつあった豊橋新アリーナ建設計画ですが2020年の豊橋市長選挙で争点の一つとなりました。当時の候補者と選挙公報を見てみましょう。
佐原光一氏

佐原光一氏は2016年ごろから豊橋新アリーナ建設に向けて動いてきました。
この時の市長選挙の選挙公報にはアリーナについての記載はありませんが、選挙前の質問で「豊橋公園で、ただちに建設する」。と回答しています。
浅井由崇氏

一方で浅井由崇氏は豊橋新アリーナ計画を見直し多くの市民の総意を得たうえで施設を考えていくべき。場所は豊橋公園以外でとしています。
選挙公報では豊橋公園には郷土歴史博物館や吉田城復元などの構想に言及しています。また、市長選挙に当選後にも新アリーナについては「これまでの計画をゼロベースで再検討する」と語っています。多くの市民が豊橋公園に新アリーナを建設することはなくなったと思いました。
鈴木美穂氏

また鈴木美穂氏は、豊橋新アリーナ構想に反対し、事業中止するとしていました。理由について「豊橋公園では駐車場の収容台数や渋滞を考えると適切ではない」と語っています。
浅井由崇市長の公約違反
2020年の豊橋市長選挙で「豊橋新アリーナは豊橋公園には作らない」という公約を掲げていたと思われていた浅井由崇市長ですが、2022年5月30日に突如豊橋公園に新アリーナを建設する整備計画について報道発表を行いました。以下、豊橋市の資料を引用します。
多目的屋内施設の整備について
現在、本市において検討を進めている多目的屋内施設の整備について、下記のとおり建設候補地として「豊橋公園」を選定し、県の財政支援も受けて施設整備に向けた基本計画の策定業務等を進めていくこととしました。これに伴い、関連予算を6月市議会定例会に上程します。
1.市場調査
令和4年1月より、交通アクセスや市場規模、市の負担がなるべく少なくなるような施設の建設・運営手法などの条件や、それらを満たす候補地、施設規模などの可能性について市場調査を実施しています(令和4年6月完了予定)
2.市場調査における民間事業者へのヒアリング結果の概要
- 事業に関して興味を持つ事業者が多数いる。
- 新幹線などの交通インフラがあり、集客面において一定の可能性がある。
- 豊橋の立地や近年の他都市の事例から、プロスポーツや音楽コンサートには 5,000 人規模の施設が妥当である。
- 持続的に集客可能であるまちなかの立地が望ましい。
- 公共交通機関のアクセス性は重要であり、駅から 1 ㎞圏内が望ましい。
- 収益性を鑑みて、多目的な利用ができる施設とすることが重要。
- PFI方式は参入しやすく、公的負担の軽減につながる可能性がある。
3.豊橋市新アリーナ建設の基本的な考え方
今回のヒアリング結果とこれまで本市が行ってきた検討結果から、建設に向けての基本的な考え方を以下のとおりとしました。
- 整備予定地は「豊橋公園」とし、武道館など他の公共施設との集約・複合化も視野に入れた整備とします。
- 市民利用のほか B1リーグをはじめとするプロスポーツや若者が魅力を感じるコンサート興行、コンベンション機能など多目的利用が可能な 5,000 人規模のアリーナを目指します。
- スポーツ・エンタメで街に賑わいをもたらします。
- 防災活動の拠点としての活用も想定した整備を行います。
- 整備手法は、PFI手法の「BT コンセッション方式」も視野に入れます。
- 愛知県新体育館のサテライトとして位置づけ連携します。
- スタートアップに対するインキュベーション機能等も視野に入れます。
4.関連予算
多目的屋内施設基本計画策定及び要求水準書等作成業務委託料
55,000 千円(県補助 55,000 千円×1/2=27,500 千円)(債務負担)
5.今後の予定
2022~2023年度:基本計画策定、公募資料作成
2023年度:事業者公募・選定
2024~2026年度:設計、建設
2026年度中:開業
【参考】豊橋公園内の事業計画地

https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/94680/houdou0530.pdf
この発表には多くの豊橋市民が驚きましたが、当の浅井市長は

豊橋新アリーナの事業計画とともに立地も白紙に戻したうえで、豊橋公園が最適との結論に至った。
と述べていますが豊橋新アリーナ建設について反対し、先の市長選挙で浅井氏に票を投じた人から見ればうそをつかれたという思いのはずです。「公約違反」と言われても仕方がありません。しかし2020年の市長選挙において豊橋新アリーナ推進の豊橋商工会議所の神野吾郎会頭らの応援を受けているところを見ると「最初からそのつもりだったのでは?」と疑わざるを得ません。
なりふり構わない豊橋新アリーナ計画
その後の浅井市長、豊橋市、市議会(推進派市議)は様々な問題が指摘されつつも住民への説明もほとんどないままに豊橋新アリーナ建設計画を進めてきました。しかしその後、様々な問題が表面化してきます。
- 新アリーナ建設予定地の半分ほどが、愛知県が指定した「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれている。
- 新アリーナ建設計画から豊橋公園東側エリア全体の大規模整備に方針転換。
- 豊橋公園内の豊橋球場を豊橋総合スポーツ公園(B地区)へ移設。
- 約100億円と見込んでいた事業費が、球場の移設費用も含め総額220億円に膨らむ。
- 豊橋総合スポーツ公園(B地区)が、津波の「特定避難困難地域」に含まれている。
- 浅井豊橋市長が不法行為の疑いで刑事告発。
そんな様々な問題を抱えたまま豊橋新アリーナ計画が進められていく中で2024年11月の豊橋市長選挙を迎えることとなりました。