豊橋新アリーナ建設問題についてもう一度振り返ってみる(1)

豊橋新アリーナ建設問題について長坂市長の審査申し立てを県が棄却

豊橋新アリーナ建設計画について新たな動きがありました。今日の「メ~テレ」からの引用です。

愛知県豊橋市の新アリーナ計画をめぐり契約の解除も議会の議決が必要とする条例案が可決されたことに対し、市長が取り消しを求めて審査を申し立てた問題で県は申し立てを棄却しました。
新アリーナ計画の中止を表明している長坂尚登市長は事業者に契約解除に向けた協議を申し入れていますが計画の推進派が多数を占める市議会は「議決を得て締結した契約に関しては解除にも議決を必要とする」との条例改正案を可決しました。
この条例について、長坂市長は2月、「議会の権限を越え法令に違反する」として大村知事に議決の取り消しを求める審査を申し立てていました。
知事はこの申し立てについて条例で契約解除を議決事項として定めることを否定する内容が法令などで明文化されていないなどとして棄却とする裁定をしました。
裁定に不服がある場合、長坂市長は4月1日から60日以内に裁判所に提訴することができます。

また一つの段階に入った感じですがいったいどうなっていくのでしょうか?

さて、この豊橋新アリーナ問題も日々地元紙面ニュースになり、SNS上では推進派、反対派それぞれが意見の発信を繰り広げています。先日までに推進派の市議団による説明会なども開催されたり…

もう住民投票しようぜ!

みたいな雰囲気になっている感じでもあります。さて、ここでもう一度、豊橋新アリーナ計画がどうしてこんなにこじれてしまったのか時系列を追って振り返ってみましょう。

豊橋新アリーナ計画の推移

2016年~国の政策「スタジアム・アリーナ改革」

スタジアム・アリーナ改革は、スポーツ庁と経済産業省が主導し、スポーツ施設を地域活性化やまちづくりの核と位置づける取り組みです。​この改革は、2016年11月に公表された「スタジアム・アリーナ改革指針」に基づいて開始されました。 ​その後、2017年度から具体的な支援が始まり、2025年までに20拠点の整備を目指しています。 ​

この取り組みでは、スタジアムやアリーナを単なるスポーツ観戦の場にとどめず、多世代が集う交流拠点として位置づけ、地域のシンボルや新たな産業集積の創出、まちの賑わいの創出など、多面的な効果を期待しています。

具体的な事例として、2025年開業予定の愛知国際アリーナ(IGアリーナ)があります。​この施設は名古屋市北区の名城公園内に建設中で、最大収容人数は15,000人を予定しています。​設計は建築家の隈研吾氏が手掛け、2026年のアジア競技大会の会場としても利用される予定です。 ​

このようなスタジアム・アリーナ改革を通じて、スポーツを核とした地域の活性化や新たな交流の場の創出が期待されています。

2017年3月24日~6回未来投資会議

2017年3月24日に首相官邸で開催された6回未来投資会議において安倍首相も出席する中、豊橋新アリーナ構想について当時の豊橋市長佐原光一氏がサポートを要請しています。この会議には愛知15区の衆議院議員根本幸典氏も出席しています。佐原氏の発言を紹介します。

佐原光一氏

愛知県豊橋市からやってまいりました、市長の佐原でございます。
私からは、豊橋市の新アリーナ構想の紹介をさせていただきたく存じます。
豊橋市につきましては、昨年の平成27年の国勢調査で初めて人口減少の局面に突入しました。高齢化も進む一方で、市内外の人を呼び込む魅力的な施設が不足していると感じています。そんな中で、スポーツは地域のさまざまな産業へ波及効果を生み出す大変素晴らしい分野だと考えております。このため、地域経済発展の起爆剤として機能する新アリーナについて、2020年代初めの建設を目指して努力をしているところです。

お手元の資料、2枚目を開いていただきたく存じます。新アリーナのコンセプトは5つあります。まず、プロスポーツをエンターテインメントとして捉える。「観る」、「楽しむ」を提供する空間づくりです。2つ目として、民間のノウハウや資金を最大限活用し、例えば、コンセッションも視野に検討するとともに、多機能な施設整備や高い稼働率の運営など、官民連携によるプロフィットセンター化を目指しています。3つ目として、好アクセス、既存インフラと連携できる街中立地を目指しています。4つ目として、国内外から幅広く人の流れを呼び込むことです。最後に、5つ目として地域の需要喚起のハブとなること。この5つのコンセプトをもって目指しています。

3枚目をお願いいたします。新アリーナの構想は、新アリーナはメインアリーナとサブアリーナの2つから成っております。5,000人収容のメインアリーナは、Bリーグ三遠ネオフェニックスの新しい本拠地とするとともに、プロスポーツやコンベンション、コンサートなど、大型で魅力的なイベントができる総合エンターテインメント空間を目指しています。サブアリーナについては、スポーツ大会や市民スポーツなど、日常の市民活動の場とするところです。新アリーナについては、市の文化・スポーツ施設が集積する豊橋公園を軸に検討しています。街中に立地した好アクセスで、市内外から世代を超えた交流人口を呼び込みたいと考えています。

4枚目の資料をお願いいたします。本市の街中は、子供の交流施設や芸術劇場、計画中のまちなか図書館など、魅力ある公共施設や商業施設、路面電車などのインフラが整備されています。路面電車は日本には残されている街が17都市しかありませんが、私どもの大変大事な資産で、スポーツレストランやスポーツパブや何かと並ぶ、スポーツトラムとして頑張っていきたいと思っているところです。これらと新アリーナが連携していくことで、新しい回遊ネットワークを創出し、商店街の活性化を初めとしたにぎわいづくりやエリア全体での商業・観光サービスなどの消費拡大を実現していきます。

資料の5枚目をお願いいたします。こうした取り組みをすることで、新アリーナが地域の需要喚起のハブとなり、市と地元中核企業やプロスポーツチームといった様々なステークホルダーが連携して、街全体の活性化や消費拡大につながる事業を目指します。また、商店街でのイベントへの参加や元アスリートなどによる学校での部活動指導、健康指導等を通じて、プロスポーツチームが地域活性化に貢献していく姿を描いております。

最後に、資料の6枚目でございます。このような地域の取り組みをスタートするにあたっての要望があります。新アリーナを核とした街の活性化に関する支援の充実、民間投資への税や資金調達に対する支援、都市公園において民間事業者による柔軟な施設運営を可能とする制度の整備など、様々な課題を抱えています。

地方都市のトップランナーとして、このプロジェクトを成功に導いていきます。是非とも政府でのサポートをよろしくお願い申し上げます。

首相官邸ホームページからPDF
佐原光一氏の資料~豊橋市ホームページPDF

この辺りでは佐原光一氏が頑張って豊橋新アリーナを豊橋公園に作ろうと前のめりになっている感じがよく伝わってきます。一方で当時から

豊橋公園に新アリーナを作ることには反対!

という声は上がっていました。

で、

浅井由崇氏

豊橋新アリーナ建設を白紙に戻す!

という公約を掲げた浅井由崇氏が2020年11月の豊橋市長選挙で新しい豊橋市長に選ばれたのでした。