豊橋新アリーナの住民投票条例を読んでみた

豊橋新アリーナの住民投票条例を読んでみた

先日決まった豊橋新アリーナ計画に関する住民投票条例。豊橋新アリーナ計画についての住民投票が行われるということはわかるものの一体その条例にどのようなことが書かれていてどんなことが決められているのか読んでみようと思います。

上の豊橋市のウェブサイトにその条例について掲載されています。

まずその条例の名前ですが「『多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業』の継続の賛否を問う住民投票条例」という恐ろしく長いものです。で、その中身を見てみると…

https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/118695/zyuuminntouhyouzyoureiR7.pdf

K-Susaki

わかりにくいんだけど…

てなわけで、ChatGPTさんに分かりやすい表現に直してもらいました。

『多目的屋内施設および豊橋公園東側エリアの整備・運営事業』の継続について賛成か反対かを問う住民投票に関する条例

公布日:令和7年5月15日
豊橋市長 長坂 尚登

第1条(目的)

この条例は、「多目的屋内施設および豊橋公園東側エリアの整備・運営事業」を続けるかどうかについて、市民の意見を正しく反映するためのものです。

第2条(住民投票)

この目的のため、市民による投票(以下「住民投票」といいます)を行います。

  1. 住民投票は、市民が自由な意思で行うものでなければなりません。

第3条(住民投票の事務)

住民投票の準備や運営は市長が行います。

  1. 市長は、地方自治法に基づいて、住民投票の管理や運営の事務を、豊橋市選挙管理委員会と話し合って委任することができます。

第4条(投票日)

住民投票の投票日は、令和7年度に行われる参議院議員通常選挙の日と同じ日です。

  1. 市長は、公職選挙法により参議院選挙の公示日と同じ日に、住民投票の投票日を告示します。

第5条(投票できる人)

住民投票で投票できる人(以下「投票資格者」といいます)は、公職選挙法により、豊橋市の市議会議員や市長の選挙で投票できる人です。

  1. ただし、法律により選挙権を停止されている人などは、住民投票でも投票できません。

第6条(投票資格者名簿)

市長は、投票できる人の名簿(投票資格者名簿)を作らなければなりません。

第7条(投票区・開票区)

住民投票の投票区と開票区は、市議会や市長の選挙と同じ区分です。

  1. 市長は、事前に投票所の場所と投票時間を知らせなければなりません。

第8条(投票の資格)

投票資格者名簿に載っていない人は、投票できません。

  1. 名簿に載っていても、実際には投票資格がない人も投票できません。
  2. 投票日当日、投票資格がない人は投票できません。

第9条(投票の方法)

住民投票は1人1票で、投票内容は秘密です。

  1. 投票する人(以下「投票人」といいます)は、投票日に自分で投票所に行って投票します。
  2. 名簿との照合を受けないと投票できません。
  3. 投票人は、投票用紙に「賛成」か「反対」かのいずれかを選び、〇の記号を自分で書いて、投票箱に入れます。

第10条(点字・代理・期日前・不在者投票)

目が不自由な人は、点字で投票できます。

  1. 投票が難しい人は、代理で投票してもらえます。
  2. 投票日より前に、期日前投票もできます。
  3. 投票所に行けない人は、不在者投票もできます。

第11条(投票用紙)

投票用紙の形式は、別に定められたものを使います。

  1. 点字投票の用紙は、別の規則で決めます。

第12条(無効な投票)

以下のような投票は無効になります。

  1. 決められた投票用紙でないもの
  2. 〇以外の記号や文字を書いたもの
  3. 〇に加えて他のことを書いたもの
  4. どちらの欄にも〇が書かれているもの
  5. 〇を自分で書いていないもの
  6. 〇がどちらにも書かれていないもの
  7. どちらを選んだかはっきりしないもの

第13条(投票と開票の方法)

この条例や関連する規則に書かれていないことは、参議院選挙の投票や開票の方法に従って行います。

第14条(情報提供)

市長は、住民が正しく判断できるように、事業に関する情報を公平・公正に提供しなければなりません。

  1. 市長は、広報などを通じて投票を促します。

第15条(投票活動)

投票を呼びかける活動は自由です。ただし、お金を渡す、脅す、迷惑行為などは禁止です。

  1. 投票活動は投票日の前日までです。
  2. 選挙と同じ時期にかぶる場合、選挙が行われる区域では、その期間中の投票活動は制限されます(インターネットによる呼びかけを除く)。ただし、選挙活動の範囲内であれば可能です。

第16条(結果の発表)

市長は、投票結果が確定したらすぐに発表し、市議会にも知らせます。

  1. 無効票や白紙票の数も一緒に発表します。

第17条(結果の尊重)

市長と市議会は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。

第18条(その他のルール)

この条例に書かれていない詳しいルールは、別に定める規則で決めます。

附則

  1. この条例は、公布日(令和7年5月15日)から効力を持ちます。
  2. この条例は、投票日の翌日から数えて90日後に効力を失います。

豊橋新アリーナ住民投票の投票運動はどのように判断すればいいのか?

条例の内容は全体的には当たり前のことしか書かれていないのですが気になるのは第15条の「投票活動」についてです。条例のその個所を原文まま紹介します。

第15条 住民投票に関する投票運動は、自由とする。ただし、買収、脅迫その他投票資格者の自由な意思が拘束され、若しくは不当に干渉され、又は住民の平穏な生活環境が侵害されるものであってはならない。

2  前項の投票運動の期間は、投票日の前日までとする。

3 前項の規定にかかわらず、同項の期間に、本市の区域内で行われる公職選挙法の規定による選挙の期日の公示又は告示の日から当該公示又は告示に係る選挙の期日までの期間が重複するときは、当該選挙が行われる区域内において、当該重複する期間、第1項の投票運動( 投票資格者によるインターネット等を利用する方法(同法第142条の3第1項に規定するインターネット等を利用する方法をいう。)を除く。) をすることができない。ただし、当該選挙について同法の規定に違反しないで行われる選挙運動又は政治活動が、第1 項の投票運動にわたることを妨げるものではない。

この条文は、豊橋新アリーナ住民投票の投票運動と、同じ時期に行われる公職選挙(今回は参議院選挙ですね)の選挙運動が重なる場合に、豊橋新アリーナ住民投票の運動に一部制限がかかるという内容です。少し複雑なので、順を追って詳しく、かつ誤解が生じないように説明します。

通常の住民投票では?

住民投票に関する「投票運動(例:ビラ配布、街頭演説、戸別訪問など)」は、自由に行ってよいとされています。ただし、期間は投票日の前日までです(第15条第2項)。

今回の豊橋新アリーナ建設に関する住民投票では?

例えば、住民投票の期間と重なるように国政選挙の告示(または公示)〜投票日がある場合には、以下のようなルールが追加されます。

その選挙が行われる地域では、重なっている期間中、住民投票に関する“対面の運動”(街宣・ビラ配布など)はできなくなる。

つまり、選挙と住民投票が重なってしまうと、「住民投票の呼びかけ」も制限されるのです。

豊橋新アリーナ建設に関する住民投票で制限されると考えられること

重なっている期間中は、次のような住民投票運動ができません。

  • 街頭演説や街宣車の運行
  • ビラやパンフレットの配布
  • 戸別訪問による呼びかけ
  • ポスターの掲示 など

一方でインターネットやSNSを使った住民投票の呼びかけには適用されません(これは公職選挙法第142条の3に定められている「インターネット選挙運動」の扱いと同じです)。たとえば…

  • SNSで「〇〇事業に賛成(または反対)です」と投稿する
  • 自分のブログで意見を述べる
  • YouTubeで説明動画をアップする

といったことは、制限のある期間でも可能です。さらに条文は「選挙の妨害になるような投票運動は禁止」と言っている一方で、こうも述べています。

ただし、公職選挙法のルールに沿った選挙運動や政治活動が、結果的に住民投票の運動にもつながっていても、それは問題ありません。

つまり、

  • 参議院銀選挙の候補者が演説で「自分はこの施設の継続に賛成」と述べた場合
  • 政党が政治活動としてパンフレットを配った中に、住民投票への立場表明があった場合

などは、公職選挙法に違反しない限り、住民投票の投票運動としても認められるのです。

豊橋新アリーナ住民投票を参議院議員選挙と同じ日に実施しなかったら?

豊橋新アリーナについての住民投票を単独実施した場合のメリット

住民投票に集中できる

  • 他の選挙と重ならないため、有権者が「豊橋新アリーナや公園整備の継続」という1つの争点に集中して判断できます。
  • 「政党や候補者に左右されず、自分の意思で決めた」と感じる市民も増える可能性があります。

運動の自由度が高まる

  • 公職選挙の制限がかからないため、対面での投票運動(チラシ配布や街頭活動など)も制限なく可能です。
  • 活動が妨げられないため、市民グループや有志がより積極的に意見を発信できます。

豊橋新アリーナについての住民投票を単独実施した場合のデメリット

投票率が下がるリスクがある

  • 参議院選挙と一緒なら「ついでに」投票できるが、単独だと関心の薄い人が来ない可能性があります。
  • 全国的にも、単独の住民投票は選挙と比べて投票率が大きく下がる傾向があります(30%を切ることも)。

実施コストが増える

  • 参院選と同時なら、会場・人員・機材などを共有できますが、単独開催ではすべてを市が用意し直す必要があり、数千万円規模の費用がかかる可能性があります。

今回の豊橋新アリーナ建設についての住民投票条例、なぜこれまで市議会で否決され続けてきたのに今回成立したのか?自民党市議団の方々の説明は不十分であると思います。投票日の日程についても参議院議員選挙の日程と同じといっても豊橋新アリーナ建設問題とはあまりに遠い選挙のような気がします。「ついで」の投票でいいのか?という感じがします。