三遠ネオフェニックスのウェブサイトに掲載された社長メッセージに想う

三遠ネオフェニックスのウェブサイトに掲載された社長メッセージに想う

昨日のことですが豊橋新アリーナ建設問題の影響を一番受けるであろう三遠ネオフェニックスのウェブサイトに社長コメントが掲載されていました。

要約するとこんな内容です。

三遠ネオフェニックスはこれまで60年にわたり、地域の皆さまに支えられながら活動を続けてきました。2024-25シーズンでは、B.LEAGUE準決勝進出という大きな成果を挙げ、6月には11,000人を超える皆さまに優勝パレードへご参加いただきました。こうした成功の背景には、クラブを超えて地域全体が一体となり、育ててくださった「想い」があると私たちは考えています。

私たちは「単なるプロクラブ」ではありません。地域の子どもたちに夢を届け、市民の日常に活力をもたらす存在でありたいと、街づくり・人づくりに真摯に取り組んでまいりました。

現在、豊橋市で進められている「多目的屋内施設および豊橋公園東側エリア整備・運営事業」は、アリーナを中心にテニスコート、芝生広場、こども広場、防災機能などを併せ持ち、「地域の未来を形にする」重要な計画です。スポーツ・文化・防災が融合した、誰もが集える場所の創出が目指されています。

今回の住民投票は、その事業の継続の可否を市民が直接判断する大切な機会です。私たちは、このアリーナが実現することで、バスケットボールだけでなく、相撲、柔道、弓道、空手、日本拳法、テニス、バレーボール、ハンドボールなど、さまざまなスポーツの未来にも寄与すると信じています。

しかし、もし住民投票で「反対」の結果となれば、私たちは2026-27シーズンに始まる日本最高峰のリーグ「B.LEAGUE PREMIER」への参入資格を失うことになります。これは、地域クラブとしての私たちの成長と挑戦にとって非常に厳しい現実です。

それでも、私たちは希望を持ち続けます。フェニックスの描く未来が、豊橋の未来と重なっていると信じているからです。この住民投票は、単なる一施設の是非を問うだけでなく、「この街の未来にどう関わるか」を市民一人ひとりが選ぶ場でもあります。

どうか、未来を前向きに描く選択をしていただけませんか。私たちの想いを受け止めていただき、あなたの大切な人へもこの声を届けていただけたらと願っています。

私たちの物語はまだ続きます。夢を共有し、希望を信じて、皆さまと共に次の一歩を踏み出せることを信じています。

三遠ネオフェニックス社長のメッセージを受けて、私たち市民の選択は?

いま、私たちが住む豊橋市では、「多目的屋内施設および豊橋公園東側エリア整備・運営事業」という大きな計画が進もうとしています。この中には、三遠ネオフェニックスが本拠地として使用する豊橋新アリーナの建設が含まれています。

それだけではありません。テニスコート、武道館、芝生広場、こども広場、災害時の避難機能を備えた多目的空間など、さまざまな機能を備えた新しい豊橋公園の整備が目指されています。言い換えれば、スポーツや文化、防災までを包括した「未来のまちづくり」が議論の的になっているのです。

三遠ネオフェニックス社長のメッセージが投げかけたもの

三遠ネオフェニックスの岡村社長は、「豊橋新アリーナがなければ、クラブは新リーグ『B.LEAGUE PREMIER』に参加できない」と明言しました。つまり、今回の住民投票が否決されれば、三遠ネオフェニックスが上位リーグに進めず、大きな試練を迎えるという現実を率直に伝えてきたのです。

この言葉を聞いて、多くの三遠ネオフェニックスのファンや豊橋市民の間に「なんとかしてあげたい」という気持ちが湧きあがったことでしょう。と同時に、「それは市がお金を出して支えるべきことなのか?」と、少し立ち止まって考えた方もいるのではないでしょうか。

建設に賛成する声~「未来への投資」として

建設に賛成する立場からは、「これは単なるアリーナではない」という見方があります。子どもたちのスポーツ環境の向上、地域大会や音楽イベント、防災時の避難所にもなるなど、公共性の高い施設としての役割に期待が寄せられています。

また、三遠ネオフェニックスの存在が若者や子どもたちに夢を与え、豊橋のブランド価値を高めているという事実もあります。「東京や名古屋に行かなくても、この街で一流のスポーツが見られる」という環境は、未来の豊橋にとって大きな財産になるはずです。

三遠ネオフェニックスの活躍を、豊橋新アリーナで子どもと一緒に観たいなぁ!

そんな市民の声も、決して少なくありません。

建設に反対する声~「税金の使い道として疑問」

一方で、反対の立場からは「今それが本当に必要なのか」という冷静な声もあります。人口減少や高齢化が進む中で、数十億円規模の投資が将来の市民にどれだけの負担を残すか、という懸念です。

確かにフェニックスは応援している。でも、そのために市の財政を傾けてまでアリーナを作るべきなのか?

災害時の避難所なら、もっとコストを抑えた形でもいいのでは?

アリーナはあっても、今の生活が厳しくなるなら本末転倒

そう考える市民も多く、特に生活に不安を感じている高齢者や子育て世代からは、慎重な判断を求める声が上がっています。

「応援している」=「建設に賛成」ではない?

三遠ネオフェニックスを応援しているからといって、すべての人がアリーナ建設に賛成というわけではありません。市民の中には、クラブへの愛情と、市政に対する冷静な判断を分けて考えている人も多くいます。

フェニックスは好き。でも、税金の使い道はもっと慎重に考えたい

クラブに頼りきりのまちづくりでは、逆にクラブを苦しめてしまうかもしれない

そんな複雑な気持ちを抱えている市民もまた、このまちの当事者です。

投票という「意思表示」の大切さ

この住民投票は、政治家や一部の関係者だけでなく、私たち一人ひとりが自分の声を反映できる貴重な場です。賛成でも反対でも、自分で考え、自分で選ぶことが何よりも大切です。

フェニックスの社長の訴えは、感情に訴えるだけでなく、私たちに「この街の未来を一緒に考えてほしい」と投げかけるものでした。だからこそ、私たち市民もそれに応えて、投票というかたちで意思を示すことが求められているのだと思います。

このブログ記事を書きながら、私は娘と一緒にフェニックスの試合を観戦した日のことを思い出しました。地元のチームが活躍し、市民が一体となって応援する空気には、たしかに「まちの力」を感じます。だからこそ、クラブの存続や発展を願う気持ちは多くの人の心に自然と響いたことでしょう。

しかし一方で、今回のようにクラブの代表が「住民投票で否決された場合、上位リーグに出られなくなる」といったメッセージを発信したことに対して、戸惑いや違和感を持つ声も確かにあります。

応援しているけれど、これはやりすぎでは?

市民の税金で整備する施設について、恩恵を受ける民間企業がここまで強く訴えるのはふさわしいのかしら?

クラブの未来を盾に、市にプレッシャーをかけているようにも見える

中には「これは応援ではなくおねだりのように聞こえてしまう」という厳しい意見もあります。

もちろん、岡村社長の言葉に悪意があったとは思いません。むしろクラブと地域の未来を本気で考え、伝えようとした結果なのでしょう。けれど、市民にとって公共施設の建設は感情だけでは決められない問題です。「好きだからOK」ではなく、「将来にわたって責任を持てるか?」という冷静な視点も大切です。

私たち市民ができることは、こうした声を一方的に否定するのではなく、立場や思いの違いを受け止めながら、それぞれが「自分はどうしたいか」を丁寧に考えることではないでしょうか。誰もが豊橋の未来を思っている。それはきっと、フェニックスも、市民も、反対の声をあげている人も、同じはずです。

この住民投票が、その思いをぶつけ合う場ではなく、共有し、考え、選び取る場になることを、僕は願っています。