2025年5月14日
拡大するSNSの影響力と、政治のリアルタイイム性
21世紀の政治活動において、SNSは欠かせないツールとなりました。かつては選挙ポスターや街頭演説、紙媒体の広報誌が主流でしたが、いまや政策のアピールや地域有権者との接点は、X（旧Twitter）やFacebook、InstagramといったSNSが担っています。
SNSの魅力は、即時性と双方向性にあります。政策の訴えをその日のうちに数万人に届けられる。市民の疑問にリアルタイムで応答できる。テレビや新聞とは比較にならない速度と親密さは、まさに現代政治の心臓部といえるでしょう。
しかし同時に、拡散力の裏には歪曲や炎上、切り取り投稿、誤情報といった危険も潜んでいます。SNSは利便性とリスクを併せ持つ「両刃の剣」であり、その影響力は年々増しています。
「自由な場」から「規制される場」へ変わりゆくSNS環境
2025年4月、日本で「情報流通プラットフォーム対処法」が施行され、SNS事業者に対する法的義務が強化されました。これは、インターネット上の誹謗中傷や権利侵害に迅速に対応するための制度です。
この改正法では、被害者の削除申請に対し、事業者は7日以内に調査・判断し、通知する義務があります。さらに、総務省は名誉毀損・プライバシー侵害・著作権侵害などの削除対象をガイドラインで明確化しました。
このように、SNSはもはや「自由な発言の場」ではなく、「法律とガイドラインに基づいて管理される場」へと移行しています。個人の発言が正当であっても、プラットフォームの方針や運用により削除や非表示の対象となる可能性があるのです。
選挙×SNS＝瞬時に広がる誤情報と政治的リスク
選挙期間中は、候補者の発言や行動がSNS上で爆発的に拡散されます。これは大きなチャンスである一方、極めて脆弱な危険地帯でもあります。発言の一部だけを切り取った投稿や、生成AIによる偽情報、対立陣営による悪意ある拡散。こうした「情報の暴走」に、候補者自身が対処するのはほぼ不可能です。
政府や各政党もこのリスクを認識し、SNS上の選挙関連投稿に関する規制強化を検討しています。自民党は即時削除可能な仕組みを、立憲民主党は第三者ファクトチェックの導入を主張。しかし、SNS事業者側は「選挙関連投稿の判別が困難」「迅速な対応には限界がある」と応じており、現場では対応が追いついていないのが実情です。
限られた選挙期間の中で、有権者の誤解を解消する時間がないまま投票日を迎える。これは、SNS時代の選挙に潜む構造的リスクといえるでしょう。
世界で分かれる「SNSと言論の自由」の線引き
SNSの規制強化は、世界的な潮流でもあります。
オーストラリアは16歳未満のSNS利用を原則禁止とする法律を可決。フランスは保護者同意を義務付け、学校ではスマートフォンをロッカーに預ける制度を導入。英国では「オンライン安全法」により、プラットフォームに児童保護義務が課されています。
一方、米国ではメタ（旧Facebook社）がファクトチェックを終了し、X（旧Twitter）においてはユーザー参加型の「コミュニティノート」に移行。政治的な対立やプラットフォームの中立性をめぐる論争も過熱しています。
言論の自由と安全なネット空間のバランスをどうとるか。これは日本だけでなく、世界が直面する課題であり、今後も各国で制度の揺れ戻しが起きることは避けられません。
SNSは借り物の舞台であるという現実
SNSは一見「自由に使える発信手段」に見えますが、その本質は「他人の土地を借りている」にすぎません。XやFacebook、YouTubeはすべて民間企業の提供するプラットフォームであり、利用者は運営ポリシーの変更、凍結、削除の対象になります。
特に最近では、シャドウバン（非公式な投稿の非表示化）や検索圏外化、特定ジャンルの投稿優遇など、見えない制限が日常的に行われているとも言われています。
政治家や候補者にとって、これは重大な問題です。どれほど正しい情報を発信していても、届かなければ意味がないのです。
なぜ独自ドメインの公式サイトが今、重要なのか？
こうした状況下で注目されるのが、「独自ドメインによる公式サイト」の存在です。
たとえば「〇〇.com」や「〇〇.jp」といったドメインを自前で取得し、WordPressなどで構築された公式サイトであれば、運営者自身がコンテンツを自由に更新・管理でき、SNSのようなアルゴリズムや制限の影響を受けません。
さらに公式サイトは、以下のような政治活動の本拠地として機能します。
独自ドメインの公式サイトの機能
- 政策の詳細解説
- 実績・活動報告のアーカイブ
- イベントや演説の案内・記録
- メディア報道の整理
- 選挙支援者・ボランティア募集
- 有権者向けFAQや動画メッセージ
また、SEO（検索エンジン最適化）によって、「候補者名＋政策」などで検索した際に一次情報として上位に表示される可能性が高いのも、大きなメリットです。
SNSと公式サイトを戦略的に組み合わせる
SNSをすべて否定するわけではありません。重要なのは、SNSを拡散の導線として使い、自前の公式サイトへ有権者を誘導するという戦略的な活用です。
たとえば、
「詳しくはこちらで解説しています → 公式サイトリンク」
「演説の全文はこちらで読めます」
「政策資料PDFをダウンロードできます」
といった使い方をすることで、SNSの即時性と公式サイトの信頼性を両立できます。
SNSを呼び水に、信頼の情報源へ誘導する設計。これこそが、現代の政治活動における理想的な発信フローです。
情報発信における主権を取り戻すという発想
政治家にとって「発信する力」とは、自分の意見を表明するだけでなく、それを確実に、正しく、有権者に届けきる力でもあります。そのためには、SNSという他人の基盤に依存するのではなく、自らの言葉を蓄積・管理できる本拠地を持つことが必要です。それが、独自ドメインの公式サイトです。
情報発信における主権を持つという考え方。これは、単に技術的な問題ではなく、政治家としての誠実さと責任の現れでもあります。
混沌の時代に必要なのは、揺るがぬ発信の土台
情報が溢れ、信頼が問われる時代において、発信の方法が伝わり方を決める。だからこそ、発言の自由と責任をともに支える「場」を持たなければならない。SNSという便利な道具に甘んじることなく、自らの声を届けるための構造を築くこと。これが、信頼される政治家として歩むための第一歩ではないでしょうか。
表現の自由とは、好きに語ることではなく、責任を持って正しく届けることです。SNSの波に流されず、自らの言葉を記録し続けられる土台を持つこと。独自ドメインの公式サイトは、政治家としての覚悟を示す静かな旗印です。